(1)滲出性中耳炎の治療は、たまっている滲出液が少ない場合には鼻から耳へ空気を通す通気療法を行います。滲出液が多い場合には注射器で鼓膜を刺して中の液を吸い出します(鼓膜穿刺)。もっと滲出液が多い場合には鼓膜をメスで切開して滲出液を吸い出して中耳内をよくそうじします(鼓膜切開、鼓室洗浄)。しかし鼓膜は再生力が強く、穿刺しても切開してもすぐに鼓膜の穴はふさがってしまいますので、何度も滲出液がたまってくる人では切開した穴にテフロンのチューブをはめて穴がふさがらない様にします(チューブ留置術)。鼓膜に穴があくと聞こえが悪くなると心配される方がいますが、中に水が貯まっているよりはるかに良く聞こえます。もちろん、鼻の悪い人は鼻の治療が必要ですし、アデノイド(扁桃腺の一種、鼻の奥にある)の大きい人はアデノイドの手術が必要になります。
(2)滲出性中耳炎は治りにくく、再発しやすい、非常にやっかいな病気です。しかし悪くなってもそのたびにちゃんと治療しておれば難聴は残りません。鼓膜穿刺、鼓膜切開を何度やっても難聴にはなりません。この病気は短くても1ケ月、長ければ何年も治療が続きますが、本人も家族の皆さんも根気よく治療にとり組んで下さい。