アトピー性皮膚炎はよくある病気なのに正体がはっきりしていない謎の病気です。
治療法も民間療法まで含めれば星の数ほど有り、病院によっても治療法が大きく異なります。患者さん本人も親も誰の言うことを信じて良いか分からなくなり、次々と病院をかわる人もいます。
当院では治療の根本はいわゆるスキンケアと考えています。すなわち、過激な運動を避け、夏はエアコンをうまく使ってなるべく汗をかかない。こまめなシャワーと入浴で皮膚を清潔にする。石鹸は刺激の弱い物(オードレマンシャンプー等を推薦)を用い皮脂をとりすぎない、柔らかいタオルを使う。(ナイロンタオルは絶対ダメ。)そして非ステロイド外用薬(保湿剤等)から弱いステロイド外用薬、強いステロイド外用薬までを部位・症状・年齢によって使い分ける事が重要です。抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の内服も効果があります。
一時アトピーの食事療法がマスコミで大々的に取り上げられた時期がありましたが、食事で生じる皮膚の病変は主に蕁麻疹(じんましん)であって、アトピー性皮膚炎が食事で悪化するのはまれ(10%以内)であることが分かってきました。特に3才を過ぎたアトピー性皮膚炎の患者では食事制限は原則として必要がないとされています。専門の医師にかからずに親が自分勝手に食事療法をして成長障害をきたした子供が増えて社会問題になりましたが、極めて危険ですので止めて下さい。