院長ごあいさつ (H.15.2.25-H.16.4.13)

医療危機

 去年(平成14年)の4月、10月の医療制度改正で、医療機関の保険点数は減らされ、患者さんの自己負担は増やされました。加えて雇用不安、不景気のため強力な受診抑制が起こっています。多くの医療機関ではかつて経験したことのない患者さんの減少に戸惑っています。
 受診している患者さんも、ちょっと症状が軽くなれば来なくなります。少々の自覚症状は我慢しているのです。それで治れば良いのですが、自覚症状がなくても徐々に悪化して、どうしようもなくなってからやって来る患者さんが増えています。

 道路工事の予算が足りないから、今後の日本の医療や日本人の健康を深く考慮せず、国際的に見て安すぎる医療費を更に削るという我が国の政治家達に唖然といたします。

 都会地では、患者さんが減り医療保険点数も減るのに、医療機関は続々と新規に増えてきています。中小病院では倒産する所がいくつも出てきました。他の業種なら従業員のリストラをして経費削減するところですが、医療では1ベット当たりの看護婦、医師数が決められており、省力化の創意工夫をする余地がないのです。小泉内閣は電子カルテで事務の省力化を進めろと言っていますが、電子カルテでは綺麗で見栄えの良いカルテを作る事はできても省力化はできません。医師の仕事は逆に増えます。単なるワープロなら安価に購入できるのですが、厚生労働省が認めた様々な条件を満たすワープロ(電子カルテシステム)は診療所向けで数百万円、病院向けで何億円とします。「書き換えられる怖れがある」とか「高い安全性」とか言いますが、それだけの理由で過剰な性能に対し日本全国の医療機関は100倍以上の出費を強いられるのです。医療も大胆な規制緩和が必要です。

 

 ともあれ、我々は苦境下であっても医療の質を落とさないように努力するだけでなく、患者さんのニーズに合った特徴のある医院を作っていく努力が必要です。
 当院耳鼻科では以前から補聴器外来を続けていましたが、昨年から新に、いびき・睡眠時無呼吸症候群に対する外来を開始しました。皮膚科ではケミカルピーリングやレーザー治療を開始しました。 各々好評で、新しい患者さんが増えています。今後とも患者さん一人一人に合った医療を出来る限り提供して行きたいと思います。

 H15.2.25