国民会計検査院ニュースNo.8  98.10.1

 

 

恐るべき実体=税金は誰のものか

防衛庁調達庁のあきれ果てた行為!

 

今マスコミで騒がれている調達実施本部予算水増しの実体は、予算がどうも多いのではないかという会計検査院の指摘(東洋通信機の過大請求は94年2月に発覚)で、調査を開始して、払いすぎには返還を請求するという答弁を行っていた。さらに昨年11月衆議院決算委員会で議員の質問への回答で、当初監査を必要としない一般契約としていたが、中途確定契約が6%あることが解った。(石井議員等の質問への回答)

 今年の6月3日の衆議院決算行政監視委員会、整備品納入価格の過大請求金額は東洋通信機分だけでも、1988年度から5年間で100億円にも上ったが、担当副本部長の指示で、最終的に8億7400万円と確定し、返還を求めたということが判明した。石井議員はこの金額確定の根拠を数字で示すよう求めたが、時田局長は個別の原価資料は保存義務もなく企業にも残っていない、企業の決算資料・損益計算書を基に計算したと答弁している。5日、衆議院安全保障委員会で石井議員は「帳簿類は税法上保存義務があるはず」と追及。時田局長は前の答弁で原価元帳は無かったとは一言も言っていないと珍答弁。

 検察の捜査でマスコミが報じるところによると、問題の企業を呼び、天下りを前提で返済金を決めていたことがわかり、しかも、調査が入ることが必須になると証拠資料の隠滅を幹部自ら指示し実行していった。

 証拠書類の焼却についても石井議員が委員会で暴露していた通りであった。

 図らずも、予算を水増しして、その金を民間にプールさせて、天下り資金にするという公の金を私することになんの疚しさも感ずることがない、あきれ果てた行為だ。

 防衛庁には、天下りのための特殊法人・公益法人等が比較的少ないという事情はある。しかし、そのかわり、防衛装備品(年間約2兆円)の発注先である数百社に千数百人の再就職や天下りを押しつけたり、接待などを要求する見返りに、ドンブリ勘定で契約金を大盤振舞してきたのだ。私たちは怒らねばならない。声を出して怒らねばならない。次ページにその怒りを「法律」にすることを石井代表が提案している。

 


天下り禁止法案(仮称)大綱素案(案)

    衆議院議員石井紘基

第一 国家公務員法の一部改正

 一 関連法人等からの隔離

l 「天下り」規制対象の拡大

 職員は、離職後五年間は、法人その他の団体の地位で、当該職員が離職前五年間に在職していた国の機関と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならないものとすること。

2 個別承認

 lの規定は、一定以上の地位にあった職員を除き、人事院規則の定めるとこうにより所轄庁の長の申出により人事院の承認を得場合には、これを適用しないものとすること。

3 報告

 人事院は、毎年、遅滞なく、国会及び内閣に対し、前年において人事院がした2の承認の処分に関し、各承 認の処分ごとに、承認に係る者が離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関における官職、 承認に係るlの法人その他の団体の地位、承認をした理由その他必要な事項を報告しなければならないものとすること。

 ニ 定年の延長

   職員の定年は、年齢六十五年とするものとすること。

 三 早期退職勧奨の慣行の廃止

   任命権者は、整理退職等に係る勧奨の場合を除き、職員に対し、その定年前に退職することを勧奨してはならないものとすると。

  ※ 自衛隊員についてもこれらに準ずる措置をとることとなろう。

第二 特殊法人等の天下り等の規制(新法)

 一 役員等の給与及び退職手当の支給基準

 次に掲げる法人(以下「特殊法人等」という。)の役員、顧問又は評議員(以下「役員等」という。)が受ける給与及び退職手当の支給基準は、一般職国家公務員の給与及び退職手当の例に準じて定められるものとすること

  イ 法律により直接に設立された法人又は特別の法津により特別の設立行為を持って設立された法人

  ロ 特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を受けた法人のうち、その行う業務が国の行政運営と密接な関連を有するものとして政令で定める法人

 ※ 特殊法人のうち株式会社の形態をとるものをどう扱うか。

 二 役員等の天下り規制

   特殊法人等の役員等は、離職後五年間は、法人その他の団体の地位で、当該役員等が離職前五年間に在 職していた特殊法人等と密接な関係にあるものに就くことを承諾し、又は就いてはならないものとするこ。 ただし、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでないものとすること。

 ※ 特殊法人等の子会社等の営利企業の給与や退職手当を直接規制することは難しいので、ディスクロージャー制度を充実させる規定を置くことでどうか。

 ※ 競争原理の導入(例えば、特殊法人等が契約等を締結する場合においては、一般競争入札の方法に準じて申込をさせる等の規定を置いてはどうか。)


ニュースNO7の大島氏への反論

           宝塚医師会 金川 清人

 

 国や自治体の無駄な出費をなくそうとする国民会計検査院の運動に賛同して参加した私ですが、ニュースNo.7の大島氏の医療費に関する主張に医師会役員の立場上不満を感じましたので反論します。

● 日本医療は最高の効率の良さ

 大島氏は膨大な医療費と言われていますが、日本の医療費は対GDP比で先進国中最低レベルで、アメリカの約半分です。わずかの金で世界最高の平均寿命、最低の乳児死亡率を実現している、極めて効率的なシステムです。薬潰けと言われますが、日本はアメリカに比べると薬の使用が多く、手術が極端に少ない。すなわち、アメリカの患者は薬で問題の先送りをするより、危険をおかしても手術で早く治りたいと考えているのです。これは人生観の違いです。

● 日本に合った真面目な議論を

またアメリカのように専門医と一般医を分離すると専門医は手術をしないと収入が増えなくなるので困ったことになります。日本は福祉国家を目指し、もっと良質で効率的な医療・介護を実現するために金を出さなくても知恵を出すべきです。すなわち「ここを削れ、あそこも削れ」式の議論でなく、どうすれば患者さんに安くて良質な医療を提供できるかを議論すべきです。現在の日本のシステムの欠点が目について、変にアメリカ式に制度をいじっていまうと金の卵を産む鶏を殺してしまうかもしれませんのでご注意下さい。

● ○○グループの実体は

 大島氏の「規制緩和で医療にもっと競争を」とする意見は一見正論です。しかし私の近所でも最近多くの医者が開業してきたため、どの医者も患者数が減少して10の力の内5,6しか発揮できていません。もったいないと思いませんか?腕の良い医者に患者さんが集中して藪医者が消えていけば競争の意味がありますが、医者の腕の判定は客観的尺度がないのでなかなか困難で、患者さんが分散すれば全ての医者が暇になります。医者の優しい言葉は自信のなさの裏返しかもしれません。立派なことを言う○○会病院グループは実際には入院患者一人当たりの点数が異常に高くて、あちこちの医師会に嫌われているのかもしれません。

● 親切な忠告は独禁法違反か?

 私は現在宝塚市医師会の理事をしています。若くて実力のある医者が当市に開業されるのは大歓迎ですが、事前に市場調査もせず専門が同じ有力な先生がすぐ近くにいるのに気づかずに何億円もかけて開業する常識はずれの医者がいるのです。「生活できないと後で嘆いても遅いですよ」と医師会が忠告すれば独禁法違反です。医者としては優秀だが経営者としては失格の者、信じられない世間知らずの者が実際にいるので困っています。

● 郡市医師会は真面目なボランティア

 病床は平均入院日数が減少しており、介護を医療から分離するのに伴って社会的入院が減少するので、今後かなり余ってくるはずです。ほとんどの中小病院はそのため経営が悪化すると思われ、増床制限はやむをえないと考えます。医師会が悪者にされているようですが、郡市医師会役員は真面目で世話好きなボランティアです。そんな無茶はしていませんよ。


「国民会計検査院」ホームページ開設!

URLアドレス http://w32.mtci.ne.jp/~kokumin

事務局 菅原 秀宣

 「万機公論ニ決スベシ」とは、皆さんご存知である通り、明治時代初期に示された「五箇条の御誓文」の一項です。センスが古いよ、とおっしゃられる向きもあるかに思いますが、では、一切を公論に委ねることなく霞ヶ関のビルの中で無用な特殊法人を造り続けていたこれまでの行政のセンスは、さて、一体どうなのだ?ということにはならないでしょうか。

 これまでの行政の専横を許さず、不透明な制度にメスを入れていくのだ、という「国民会計検査院」が発足して3年半ばになろうとしています。このたび、「国民会計検査院」では、当会の活動を日本中の人々に知ってもらい、より多くの参加を呼びかけるために、インターネットによるホームページを開設する運びとなりました。 インターネットは情報通信手段として急速に発達し、アメリカ合衆国の「大統領不倫揉み消し疑惑」でも報告書が米議会のホームページを通じて世界中に公表されるなど、「万機公論ニ決ス」ための情報開示の手段として国際的に認知されつつあります。

 10月10日の開設を目標に、「国民会計検査院」では、ホームページ上で以下のコンテンツを運営する予定です。

 

内容

1.「国民会計検査院」の設立趣旨

2.「国民会計検査院」の活動報告

3.「国民会計検査院・国会議員の会」のメンバーの名簿開示

4.衆議院議員石井紘基氏による独自調査情報の公開のページ

5.小泉晨一氏の活動報告のページ

6.地方支部開設支援のページ

7.「国民会計検査院」運動等について、アクセスいただいた方々に自由に意見を書き込んでいただける掲示板

8.「国民会計検査院」にオンラインで即時の参加申し込みがいただけるフォーマット

9.関連ホームページへのリンク集

10.希望者の他の国会議員ページ

また、「国民会計検査院」へ電子メールでお便りいただくことも可能となります。

当会のホームページのURLアドレス(予定)を以下に掲載いたします。

 

(URLアドレス http://w32.mtci.ne.jp/~kokumin )

現在の主要検索エンジンに登録して多くのアクセスをいただくよう努めるとともに、充実したページ内容の作成と頻繁な更新によって、アクセスいただいた方々に対して一人でも多くの参加・賛同をいただけるよう努力する所存です。

インターネット接続環境にいらっしゃる方々のアクセスを心からお待ちしています。


◆公共の利益調査グループの誕生を◆

神奈川県代表 小泉 晨一

● アンケートの結果

 国民会計検査院神奈川は、この度、神奈川県民1.000名の方々にアンケートをお願いした。そんな中で、あなたが関心をよせる言葉を3つお選びくださいという聞かけに、ダイオキシン・リサイクル・環境ホルモン・介護・リストラ・天下りなどが多くを占めた。また、神奈川ゆめ国体や、地震・薬物乱用・ボランティアには関心がよせられなかつた。

● 県民の関心事

 いま神奈川県民はもとより、多くの市民の関心事は環境という言葉に、あるいは医療・福祉という言葉に集約できるかもしれまない。人類の歴史の中で19世紀は平等という理念への戦いであり、20世紀は自由という理念への戦いであり、21世紀は環境という理念への戦いかもしれない。

● 情報は公開されているか!

 地方公共団体の情報が充分公開されていると感じる人は皆無だった。言い替えれば、不十分な情報の中で生活をよぎなくされている私達は、公共団体が行つている事業や施設の無駄も充分感じているが、さてその事業や施設名を具体的にあげてくださいと問いかけた時、充分な回答を得られなかつたのは、これまた情報が公開されていない事を裏づけるなにものでもない。

● 中央教育審議会の答申

 私の手元に「新しい時代を拓く心を育てるため・次世代を育てる心を失う危機」という題の中央教育審議会(平成10年6月30日)の答申がある。

 第1章 未来に向けてもう一度我々の足元を見直そう 

 第2章 もう一度家庭を見直そう 

 第3章 地域社会の力を生かそう 

 第4章 心を育てる場として学校を見直そう

 第5章 家庭、地域、学校等の役割りを見直そう、そしてゆとりある生活で自己の実現をはかろう、

と結んでいる。

 ここに住民は、納税者は、有権者はどのようにかかわり暮らして行くのだろうか。権利と義務への強い意識を幼い頃から表裏一体と学ぶことによつて、大人になつても権利と義務に対する強い意識は消えない。それが普通なのかもしれない。そういう意識が消費者運動などへ向かわせる力なのだ。

● 市民参加の資源化システム

 昭和53年(1978年)4月から、私は「市民参加の資源化システム」確立に向けて、NHKに放送モ二ターがあるなら、リサイクル業を営むわたしども組織にも「資源モニター」なるものがあるとよいと言う事で、今日まで30名ずつ2年間の任期でお願いをし、多くの事を学んだ事実はなによりも重い。

 日本の消費者運動や非営利運動に携わる人々は日本に何人いるのだろうか。日本に「公共の利益調査グループ」が数多く設立される社会こそ当たり前の社会なのである。


【新しい会員を迎えて】

国民会計検査院国会議員の会

                  幹事長 秋葉忠利

 国民会計検査院国会議員の会が、今度の参議院選挙で当選した新議員に、入会を呼びかけたところ、4名の方が、さらに衆議員1名(補欠選挙)の方が趣旨に賛同して名を連ねて下さった。今までにもまして、この運動を活発に展開してゆかねばならない。

 政官業の癒着は、会が発足した時以上に進行している。例えば今マスコミで騒がれている防衛調達庁調達本部の予算水増し、その返却額縮小事件は、今の行政のあり方そのものの典型だと考えられる。また大蔵省の接待漬け官僚たちに見られる倫理感の麻痺も、全官僚に蔓延していると考えるべきだろう。会としてこうした問題の起こる根源について深く考え、みんなで知恵を出して、うねりを起こし、議員立法へと進めてゆきたい。

           全会員名簿

 

秋葉 忠利(衆社民)    池田 元久(衆民主)     石井 紘基(衆民主)

伊藤 公介(衆自民)    今井  澄(参民主)     岩本 荘太(参無所属)

上田 清司(衆民主)    枝野 幸雄(衆民主)     大畠 章宏(衆民主)

大脇 雅子(参社民)    岡崎トミ子(参民主)     小川 勝也(参民主)

奥田  健(衆民主)    奥村 展三(参さきがけ)   海江田万里(衆民主)

金田 誠一(衆民主)    菅  直人(衆民主)     日下部禧代子(参民主)

草川 昭三(衆平和)    玄葉光一郎(衆民主)     郡司  彰(参民主)

小泉純一郎(衆自民)    小杉  隆(衆自民)     小平 忠正(衆民主)

五島 正則(衆民主)    小宮山洋子(参民主)     佐藤 静雄(衆自民)

佐藤謙一郎(衆民主)    末広真樹子(参自民)     高市 早苗(衆自民)

竹村 泰子(参民主)    土屋 品子(参無所属)    田  英夫(参社民)

堂本 暁子(参さきがけ)  畑  恵 (参自民)     鳩山由紀夫(衆民主)

林  芳正(参自民)    福山 哲郎(参民主)     船田  元(衆自民)

古川 元久(衆民主)    堀込 征雄(衆民主)     前原 誠司(衆民主)

松本  龍(衆民主)    水野 誠一(参さきがけ)   梁瀬  進(参民主)

山元  勉(衆民主)    若松 謙維(衆平和)  

         (アイウエオ順 敬称略) 98.9.25現在 

* 現職大臣のため氏名未公表

 

この会に参加されていた前議員氏名

五十嵐ふみひこ     一井 淳治      今村 修        宇佐見 昇

小泉 晨一       鮫島 宗明      高見裕一        徳田 虎雄

中島 彰夫       中村  力      中尾 則幸       楢崎弥之介

三原 朝彦       山元  拓


≪ダム建設の中止に思う≫

事務局長 渡辺文学

 最近ダム建設の中止の記事を目にする。あれほど一度決まれば絶対変更のない国の予定が、地域建設審議会でダム工事の中止が目に付くようになった。しかしこのダムは、水資源利用の件のみのような気がする。決してこの事業が目的を失ったからでは無く、水の引き取り手がいなくなったからだ。工事完了で経費の負担を水の利用料で賄うつもりが、これが見込めないため、地方自治体が拒否しているのである。建設省始め公共事業に群がるやからは、工事さえあれば・仕事にさえなればあとはどうなろうと知ったことはないと言う態度だ。

 農業土地改良事業はその典型で、お金をかけて、用水路を作り大雨の日には一度に水を河に流すから河は増水して氾濫を起こす。この構造改良事業をしたからといって、外国の農産物と価格競争が出来るわけでもない。何のための事業なのかさっぱり解らない。

 国の財政が厳しさを増している折、目的をはっきりさせて、予算措置を取るらねばならない。厳しい監視の目が今こそ必要なのだ。朝日新聞の社説を参考までにご紹介したい。

 

   朝日新聞  98.9.16

長良川に税金が流れる    河口堰訴訟

 長良川河口堰が完成して三年半たつ。堰が生み出した水の大半は、工業用水に回されるはずだった。だが、見通しは外れ、使うあてはない。

 水を売って堰建設費に充てた借金を返すはずだった愛知、三重両県の計算も狂った。結局、税金で補うしかない。

 そんな税金の無駄使いは許せない。そう主張する市民グループが、愛知県の鈴木礼治知事を相手に、税金投入の差し止めを求める訴訟を名古屋地裁に起こした。三重県でも、提訴の準備をしている。

 両県の借金返済額は、金利を含め計一千億円にのぼる。巨大な構造物が残した多額の借金は、だれがどう負担するのか。訴訟は深刻な問いを突きつけている。

 堰建設費の多くは、水資源開発公団が郵便貯金などを原資ににする政府の財政投融資(財投)から借りてまかなった。

 その借金を、両県が堰完成後二十三年間で水を売って返すのが本来のルールだ。{水事業は独立採算」と、地方公営企業法や地方財政法で決められている。

 それなのに水が売れないので、両県は貸付金などの名目で税金を出して水事業会計を支える。返ってこないことを承知で出すもので違法だと、市民グループはいう。

 借金の返済を税金に頼らなければ、工業用水の大幅な値上げしかない。だが、この不況下、企業納得を得るのは難しい。返済をやめれば財投に穴があく。

 どうしたらいいんだ。両県からはそんな悲鳴が聞こえてきそうだ。

 いわぬことではない、といいたくなる。今日の事態を予想し、私たちは再三、事業の見直しを求めてきた。

 「長良川に税金が流れる」。行政内部にさえ、工業用水がだぶつくことを予想し、財政負担を心配する声があった。

 けれども、建設省や水資源公団は建設を推進した。「堰を作ってしまえば勝ち」と言わんばかりだった。既成事実を積み上げ、引き返そうにも引き返せない状況をつくってきた行政や公団の責任は重い。

 やはり堰によって生み出された上水道用の水の一部を、両県は水道管を引いて使いだした。上水道には、ほかから水を回すこともできるのに、である。堰に利用価値があることを見せたいのだろう。ここにも、行政の硬直的な体質がうかがえる。

 河口堰の建設で、環境は激変した。

 流れが分断された堰下流の川底には大量のヘドロがたまり、水質が悪化している。

 シジミ漁は大きな打撃を受けた。「天然アユがめっきり減った」と漁師は嘆く。堰の上流は水位が上昇し、野鳥の巣となるアシ原が少なくなり、風景は一変した。

 失われたものに比べ、得られた利益が釣り合うとは、とうてい思えない。

 河口堰問題は公共事業のあり方を問う発火点の一つだった。出口を見つけるのは容易でないとしても、行政側は過去を反省し、ゲートを開けることも含め、今一度、事業を再検討すべきではないか。

 こうした採算性を度外視したような事業は、長良川河口堰だけではない。

 借金に依存し、瀬戸大橋や明石海峡大橋を造った本州四国連絡橋公団は、巨額の赤字を抱える。政府の肝いりで開発した北海道の苫小牧東部では、売れる見通しのない広大な土地が不良債権と化している。

 借金に安易に頼る事業はいつか、税金につけを回す。河口堰問題を公共事業を進めるうえの戒めとしなければならない。

 


いかほどの金がいるのか!・何を明らかにするのか!

━━日本発世界金融恐慌を防ぐために━━

事務局次長 若山 宏

 今、国会で議論されている金融問題は、私にはさっぱり解らない。北拓倒産後の北海道情勢を、露木氏の報告で多少なりにわかったつもりであるが、その後事態はさらに深刻さを増しているとのこと。 金融システムを維持し、血液の流れを円滑にするために公的資金を導入するというのであれば、早急に実行すべきである。そのために資本を各行に提供することである。

 もちろん、その原因を作った責任と、モラルハザードは社会システム上許されないのは当然であるが、その追及に目を奪われて、先に進まなければ、角を矯めて牛を殺すことになるのでその点充分気をつけるべきである。

 先日のサンデーモーニングでリチャード・クー氏が、貸し出し余力のある銀行が無いのに破産処理したら、優良といわれる会社も資金ショートを起こし連鎖倒産を免れない。そのことに気がついたアメリカの論調も変わってきている、と言っていた。

 破産処理後に公的資金を注入するか、破産前に注入するかどうか?と言っているが、問題は少量の金額で、最大の効果を上げること、そして金融システムを再構築することである。今銀行は、表向きは優良だという顔をしているけれど、内実はどこも資金的余力はない。それほど実質的には困っているとのこと。例えば赤字処理は、財産や売り上げ向上で利益から償却されるが、不良債権も同じくそのような処理をすると、銀行の資産が減少する。BIS規制で資本は常時8%維持しなければならない。当然貸出枠が減少する、それが貸し渋りである。今必要なことは、銀行に体力(資本を増やす処置)を付けさせることである。責任とか、背任とかは次に時間をかけて行えばよい。このことを混同してはならない。国民に問題を明らかにして、その責任の上に税を投入してもらいたい。 

 

             事務局便り

 1)11月半ばに、シンポジウムを計画しております。追ってご連絡します。 

 2)ようやくホームページがもてます。皆さんの意見も要望も随時お答えできる事が出来ます。

    ( http://w32.mtci.ne.jp/~kokumin  )

 3)10月11日屋久島の自然環境問題で視察に行きます。その結果次号で掲載します。

 4)今自治体が破産寸前であると言うことを耳にします。皆様の地方は如何ですか。

   起債できないのはもちろん、財政そのものが破産、会社で言うと倒産と言うことです。

   情報がありましらご一報を!

 5)会員更新のお願いをしていますが、会費が載っていないと言うおしかりをいただ

   きました。大変失礼を致しました。

     年会費   1口  2000円   何口でも宜しく

     大和銀行衆議院支店 口座名 国民会計検査院  口座番号 普通 7812403

      郵便振替    口座名 国民会計検査院 口座番号 00180-5-671824

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