国民会計検査院ニュースNo.2 1997年4月1日

 

4.19設立第2回記念シンポジウム・行革リレートーク

国民会計検査院第4回総会同時開催

●市民が参加する行革を

 私たちが国民会計検査院運動を発足させてから、はや一年が経とうとしています。世間ではようやく会計検査院自体のあり方が国民の間で話題になり始め、特殊法人の存続がマスコミに取りあげられています。特に小泉厚生大臣は年金福祉事業団の廃止を堂々と述べたり、亀井建設大臣もテレビで道路公団の民営化を含めて検討すると公言する時勢です。

 私たちの運動自体はいまだ少数者の域を出ないですが、まさしく時宜にかなった運動と言えましょう。しかし自民党を含めて行政改革を実行と言う今こそが我々の正念場なのです。国鉄改革の二の舞は決して許してはいけません。借金だけが国民に来るような清算を許してはいけないのです。そこで今回の記念シンポジウムでは各分野の専門家の方々に行政改革について思うことを一人7分ずつお話していただくとともに、会員の中からも出来るだけ多くの希望者に一人3分でご意見を頂くという企画を立てました。

 そして、その中から今後の私たちの運動方針を立てようと考えています。多くの会員の参加並びに発言を期待しております。(当日有効但し定員になり次第打ち切り)

 

★7分トーク者

 猪瀬直樹(ジャーナリスト)

 江口克彦(PHP研究所副所長)

 松原 聡(東洋大教授)

 新倉俊子(公共事業チェック機構事務局長)

 原 敬一(葉山の自然を守る会・山形)

 高橋利明(全国市民オンブズマン連絡会議代表幹事、弁護士)

★政治家(交渉中)

★経済界(交渉中)

★3分トーク者  会員・応募者10〜20名

★場所  アルカディア市ケ谷(私学会館)会議室 (地図略)

千代田区九段北4−2−25  TEL 03−3251−9921

JR市ケ谷駅下車徒歩4分 地下鉄有楽町線・南北線市ケ谷 都営地下鉄市ケ谷駅下車

★期日4月19日

13:00受付 13:20総会開始 14:00リレートーク開始 16:30終了

★参加貫    1,000円(資料代込み)


国民会計検査院第3回総会報告

 

 去る2月14日、国民会計検査院の総会が神田パンセで開催され、35名の参加者からの活発な議論があり、以下の点について決定致しましたのでご報告致します。

 

1.組織について

 今回のメインテーマは、一年前の発足以来曖昧なままになっていた本院の組織体制の確立でした。これは、本院が会費制組織として当然の体裁を整えるばかりでなく、今後の活動を活発化させる上からも是非とも必要になるものと考えられますが、今回の総会では、一部未確定な部分が残ったものの、一応以下のような組織の骨格が承認され、世話人の監瞥の下、事務局が積極的に各種の企画を推進することになりました。

 これまでは、誰が総会をはじめとした各種の活動を企画、推進していくのかはっきりせず、公共プロジェクトの現地視察といった散発的なイベントはあったものの、会としての組織的な活動は低調なままであったと言わざるを得ません。この点に関しては、会員の皆様にもご不満が多かったことと思われます。今後は、このような組織体制の下、活動を活発化していく予定ですので、皆さんも一緒に頑張って頂きたく思います。宜しくお願いします。

 

2.年会費

 年会費は、一口2000円のまま据え置かれることになりましたが、本院の活動をより活性化させるためにも財政を充実する必要がありますので、宜しくお願いいたします。

 

3.その他

・関西支部のスタートに関する報告がなされ、承認されました。

・特殊法人で働く方々の意識調査をアンケート形式で行いたい旨の提案があり承認されました。

 

事務局

  事務局長  渡辺文学

  事務局次長 若山宏

  会計担当  小泉晨一

  事務局   大橋稔・松本清司・氷鉋健一郎

 

世話人(地方幹事含む)

 石井紘基・小泉晨一.仲井富・廣川智行・松田享子・大塚英作・大浦栄・森竜樹・若山宏・渡辺文学・中村浩寿・吉田勝保・今野益二郎・三好俊夫・富樫繁・岩崎尊之・金川清人・篠塚仁・新井康広・双木弘子・猪俣宏光・露木茂・明妻信利・橋本英明・紀藤正樹・山本修・小室正次・小宮晋一郎


特殊法人職員向け意識調査を開始

 

 前回、お知らせいたしました88特殊法人の内13特殊法人の職員3,300人にアンケートをお送りいたしました。質問項目は多岐にわたり、50数問と多いのですが、この際思いっきり聞きました。質問対象者は、係長、課長その間の役職者です。

 本来職員全員にアンケートをしたかったのですが、名簿の入手が思い通りにいかなかったのと、費用の件で上記のようになりました。

 

対象法人

○国際協力事業団○年金福祉事業団○社会保険診療報酬支払い基金○森林開発公団○農業者年金基金○新エネルギー・産業技術総合開発機構○石油公団○雇用促進事業団○労働福祉事業団○日本道路公団○住宅・都市整備公団○首都高速道路公団○住宅金融公庫

 

名簿取得にご協力下さった、国会議員の会のメンバー

秋葉忠利・石井紘基・今井澄・海江田万里・金田誠一・党本暁子

 

発送に協力下さった会員

芦沢・小高・氷鉋・廣川・松本・道平・渡辺

本当にありがとうございました。

 

更新の手続きを

 発足して一年が過ぎようとしています。別紙の振り替え用紙を入れましたので更新の手続きをお願いいたします。2月14日の総会で議論されましたが、会としてお金がかかるということはわかりますが、1人でも多くの人の参加を促すため、一口2,000円とし、会にご理解を示す方は多数の口数をという具合に決まりました。宜しくお願いいたします。

 

事務局便り

●関西の森さんを中心に、関西国民会計検査院が発足し、東京よりも活発に活動を行いますという便り。名古屋地区の水野さんも支部を作りたいという連絡あり。各地でそういう運動が興ることを期待しています。事務局として今、簡単な会の主旨説明と申込書を作成する予定になっています。それを希望があれば各地方に配布します。

●「なぜ、年度末に道路工事が多いのか?」一地方自治体職員からの視点と言うのを検討中です。次号あたりに内容を掲載できると思います。

●別紙同封しましたイギリス会計検査院情報は仲井富さんからの情報です。

●前回のアンケート回答者数75名でした。1月14日の総会で発表しました。

●国民会計検査院ニュースは年4回発行、今回予定通りに発行できました(若山)。

 

年会費の振込先

大和銀行衆議院支店   口座番号(普通)7812403

            口座名  国民会計検査院

郵便振替        口座番号 00180−5-671824

            口座名  国民会計検査院


NAO:英国の会計検査院と決算制度

 

■はじめに

 行政監視機能の強化が叫ばれているが、米国のGeneral Accounting 0ffice(GA0=行政監視院)と並んで、英国のNational Audit 0ffice(NA0=会計検査院)が注目される。その理由の第一点は、英国が議院内閣制であり、政治体制を反映して、NAOの議会や行政府との関係がGAOの場合と異なるという点である。

 二点目としてはNAOは1980年代に抜本的に改革されたが、これはサッチャー政権の「小さな政府」「行政効率化」路線を推し進める中でなされたという背景がある。

 わが国で現在、会計検査院の機能強化論や、議会直属の行政監視院設置論が叫ばれる事情と共通した時代的背景を抱えているのである。

 三点目は、英国では下院決算委員会(Commitee of the Public Accounts)が決算制度において重要な役割を果たしており、下院決算委員会とNAOが緊密な連携をとりつつ、決算審議とプログラム評価を行っており、わが国の決算委員会にも参考になるという点である。

 

■改革の二つの柱

英国の決算システムはどう改革されたのであろうか。第一点は大蔵省から離れ、行政府から独立した機関になったことである。もう一点は、根拠法の上でも、不正不当事項の監視だけでなく、政策を評価・分析するプログラムを導入した点である。

 

■プログラム評価(VFM検査)とは

 英国では、プログラム評価を「VFM(Value For Money)検査」と呼んでいる。つまり「支出に見合った価値」が実現できているかどうかを分析するものである。

 NAOはVFM検査を1983年国家会計検査法第6条にeconomy,efficiency and effectiveness(経済性、効率性、有効性)の視点で検査を行うこととして規定した。

 それぞれ何を意味するのかが年次報告で紹介されている。

(1)経済性:コストを最小化すること。つまりより少なく支出すること。

(2)効率性:財サービスなどの成果と使われる資源との関係で、最大の成果を出したか、あるいは資源を最小化したか。つまりよりうまく使ったか。

(3)有効性:政策意図と実際の成果の関係で、政策意図を実際の成果はどの程度達成したか。つまりより賢く支出したか。

VFM検査は、この三つの観点から個別政策を評価・分析しようとするものである。

 

■VFM検査の実績

 NAOが発足してから13年余りであるが、VFM検査についてはプログラム毎に報告書の形で下院に提出されている。当初は20件程度であったが、近年は年間約50件の報告書を提出している。

 GAOが年間1000件を優に超える報告書を出しているのと比較すると、件数的にはかなり少ない。しかし、VFM検査を実施することで、NAOは二つの効果があるとしている。一つは、指摘された具体的事項を改善するという個別効果である。もう一つはVFM検査があることで、行政がVFM(支出に見合った価値)を意識して行政を行うという、より一般的な効果である。

NAOによれば、前者の個別効果によって、1995年度については算出できた分だけで約2億3千万ポンド(460億円)の節約になったという。後者の効果については定量化できないが、行政に対して大きな影響を及ぼしているという。

【『調査と情報』ISSUE BRIEF NUMBER 295 Mar.17.1997/概要紹介・仲井富】